20年前、大阪市港区で家を探していた当時の私は、お腹に次女がいる5人家族予定の若夫婦でした。本当は新築を建てたかったけれど、市内は土地が高く予算が足らず、親に協力してもらってようやく手にしたのが、袋小路にある築25年の中古住宅。当時の私は、ご近所にどんな人が住んでいるかなんて、ほとんど気にせず買いました。気にする余裕も、なかったんです。
ところが暮らしてみると、袋小路は子どもの遊び場として最高でした。走り抜ける車がなく、車庫にはシャッター。それでもキャッチボールが反れて「ガシャーン」となると、ご近所さんが出てきて「ええよ、ええよ」と笑ってくれる——。私たち若夫婦は、子育てのほとんどを、このご近所さんに見守ってもらっていました。
20年経った今、子どもたちと昔の話をすると、家の中の思い出と同じくらい、ご近所さんとの思い出が鮮明に出てきます。家は、建物だけじゃなかった。家のドアを開けた向こう側に、どんな町と、どんな人がいるか——それも“暮らしの一部”だったんです。港区で家を探している若いご家族に向けた、私自身の20年の振り返り記事です。