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家を建てるだけでは、足りないと気づいた日のこと。


港区で20年暮らす工務店オーナーが、マルシェを続ける理由

 末っ子が小学校を卒業した春のこと、ふと気づいたんです。「あの家族、越してきたのに、まだ一度も顔を合わせてないな」と。子どもを通じて育まれてきたつながりが、子どもの卒業とともに、静かに、でも確実に薄れていく——。港区で20年暮らし、工務店をやってきた私が、なぜ毎年マルシェを続けるのか。その理由をお話しさせてください。

目次

港区に20年。つながりは、自然には生まれない。

 港区に住んで、20年ほどになります。

 結婚当初は阿波座のマンションに暮らしていましたが、妻の姉夫婦が近くに住んでいたご縁や、希望に近い物件も見つかり、港区市岡の中古住宅を購入したのが始まりでした。私は実家のある大正区平尾に通勤していたし、妻もまだ知り合いが少なくて、最初の頃はご近所さんと顔を合わせる程度の暮らし。幼稚園はお隣の町の「みさき幼稚園」で、ここでも少しずつ顔なじみができてきましたが、まだ「知り合い」という感じでした。

 それが一気に変わったのは、長女が市岡小学校に通い始めた頃です。

 近所のスーパーで声をかけてもらう。公園で子どもたちが同級生と遊んでいる。そのうち子供会、PTA、町内会と、気づけばどこへ行っても知っている顔がいる。特に長男が子供会のソフトボールにお世話になってからは、私もコーチとしてお手伝いするようになり、PTAのソフトボールチームにも入って。気づけば「この町、自分が生まれ育った地元よりも居心地がええな」と思うようになっていました。

 その感覚が、今でも私がこの地域で仕事をしている原動力になっています。

 ところが、今年の3月に末っ子が小学校を卒業しました。

 すると「あれ、この子誰やったかな」「あそこに引っ越してきた家族、一度も顔を合わせてないな」ということが、じわじわと増えてきました。子どもを通じてできていたつながりが、子どもの卒業とともにスッと薄れていく。これ、うちだけの話じゃないと思います。新しく越してきた若い家族が「挨拶に行こうと思ったけど、どんな人か分からなくて」と躊躇する。そういうことが、今の町ではごく自然に起きているんですよね。

屋外の広場で、子どもたちが黄色や青のヘルメットをかぶって木材を組み立てている。大人が見守り、柱に1Fの文字が見える。
小さな家をみんなで上棟

屋外の屋台で、若者たちと子ども連れの男性が菓子や商品を見て買い物している。青白の三角旗が飾られ、和やかな雰囲気】【。
子どもから大人までたのしい時間

家を建てるだけでは、足りないと気づいた。

 私は2018年に独立開業して「たのしむ家族のこうむてん かねしろ匠舎」という工務店をやっています。

 「いい家を建てること」が仕事だと思われていますし、もちろんそれは間違いじゃない。でも、ずっと心の中に引っかかりがありました。

 どれだけ丈夫で、心地よい家を建てても、その家が建つ「町」が寂しかったら、何かが足りない気がする。

 隣に誰が住んでいるか知らない町。子どもが外で走り回っても、誰も気にかけない町。お互い挨拶もなく、気を掛けない町。そんな町に、どれだけいい家を建てても、その家族が本当に幸せかどうか、私は自信を持って「大丈夫」と言えない。

 家づくりで大切にしていること——それは、家族の幸せです。でも家族の幸せって、家の中だけでは完結しないんですよね。声をかけ合える関係、ふらっと立ち寄れる場所、顔を知っている人がいる安心感。そういうものが揃ってはじめて、「ここに住んでよかった」と思える暮らしになる。

 だから私は思いました。「家を建てる人間が、家の外のことにも関わらんと、片手落ちやな」と。

屋外の青い飾りの市場で、白い帽子の少年が女性客に紙袋を渡し、赤ちゃんを抱く母親が受け取る様子。木箱に菓子が並ぶ。
親子で焼き菓子販売
木製の積み木でできた筒の中から男の子が顔を出し、室内で遊んでいる。周囲に大人の脚が見え、楽しげな表情。
たくさんの積み木の中で!こんなん初めて!

だから、マルシェを始めた。

 そんな気持ちから始めたのが「かねしろ匠舎感謝祭 おトナリマルシェ」です。

 最初のころは、「人が集まるかな?」と自信もないし事務所もなかったので、袋小路の自宅周辺と、工場の前を借りて、今のおトナリマルシェの前身の「アン・プゥ・ドゥ感謝祭」を開催しました。2022年にみなと警察署前に事務所を構えたので、その近くの児童公園に、近所のお店や知り合い、事務所で催してくれたイベンターさんに声をかけて、「何か楽しいことをしよう」とみんなで1日だけ小さなマルシェを開きはじめました。最初は本当にそれだけのことでした。でもやってみると、屋台の前ではじめて会う人と話す。子ども同士が勝手に仲良くなって遊び始める。「あのお店、うちの近所のイベントにも来てほしい」と新しい繋がりが生まれる。


 「ああ、これが欲しかったものや」と思いました。

 それから毎年続けて、今年で6回目。来場者は年々増えていて、少しずつ輪が広がっています。港区外の人や、地域の振興町会の方々も参加してくれるようになって、私が思い描いていた「町のお祭り」に、だんだん近づいてきた気がしています。

青地に黄色円が並ぶ「KANE-SHOW CARNIVAL」2019年6月22日開催の告知ポスター。積み木展示や似顔絵、クレープ等の案内と地図付き
おトナリマルシェの前身 第1回の感謝祭

6年目の秋、また市岡の公園で。

 今年も、やります。まだ日程を決めたぐらいですが。

 2026年11月23日(月・祝)、市岡の公園でお会いしましょう。詳しい内容はまた追ってお伝えしていきますが、ぜひ秋の予定に入れておいてください。

 おいしいものを食べて、ステキなものに触れて、知らない人と少しだけ話してみる。そんな1日が、じわじわと「この町に住んでてよかった」につながっていくんだと思っています。

よくある質問

Q1. おトナリマルシェとはどんなイベントですか?

A1. かねしろ匠舎が毎年秋に開催する地域のマルシェです。飲食・雑貨・ワークショップなど地域のお店や職人が集まり、開催するイベントです。今年(2026年)は11月23日(月・祝)、大阪市港区市岡の児童公園で開催予定です。


Q2. 工務店がなぜマルシェを開催するのですか?

A2. 「家を建てるだけでは、家族の幸せづくりは完結しない」と考えているからです。その家が建つ町のつながりも大切。近所の人と顔見知りになれる場所をつくりたいという想いから始めました。


Q3. 参加できますか?

A3. はい、港区の方を優先していますがそれ以外の方も、どなたでも参加・出店できます。子どもから高齢者まで楽しめる内容を用意しています。


ご相談・お問い合わせ

家づくりのこと、リフォームのこと、あるいはマルシェについて——何でもお気軽にご相談ください。「つくる人が、話を聞きます。」

また、イベント情報や現場の様子はInstagram・Facebookでも発信しています。ぜひフォローしてください。

かねしろ匠舎(かねしょうこうむてん株式会社)

大阪府大阪市港区市岡1-5-16

代表:金城卓哉 TEL:06-6575-9151

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