「家づくりの失敗」って、本当は何だろう
- 卓哉 金城
- 4 日前
- 読了時間: 6分
正しさより大事にしたいこと──家づくりの失敗と友ヶ島の旅で気づいたこと
目次
家づくりの失敗、本当に怖いのはどっち?

こんにちは、大阪市港区でかねしろ匠舎という工務店をしている金城です。最近、動画で「家づくりの失敗3選」といったコンテンツをよく見かけます。家は生涯最大の買い物とも言われますから、失敗はしたくない。当然の気持ちだと思います。
でも私は、そういう動画を見るたびに、ふと考えることがあります。「本当の失敗って、何だろう」と。
私の若かりし頃の友人たちとの思い出です。同窓会をきっかけに再会した中学校の同級生、男女含めて6~8人で、お金はないけど時間はある時代から、仕事しだしてお金はできたけど、彼女彼氏がいない。そんな18歳ぐらいから、それぞれが結婚して生活が忙しくなる30代前半ぐらいまで、よく一緒に遊びました。あの時、何が楽しかったのか、今でもよく考えます。言い争いもケンカもしました。それでも、涙が出るぐらい楽しかったんです。
「正しさ」が一位になる瞬間、失うもの

今年のように暑い夏、友人たちと和歌山の友ヶ島に旅行に行ったことがあります。旅行となると、行きたい奴が幹事になって、行き先も段取りも全部決める。そのかわり文句は言わない、というのが仲間内の暗黙のルールでした。まあ、実際はそれをネタにしゃべるんですけどね。
その時の幹事は「タルさん」という友人でした。幼稚園から一緒で、小学校では野球をしていて柵越えホームランをたたき出す、仲間思いの番長的存在。18歳頃の私たちは、免許はあっても車を持っていない、だから親のバンや兄貴の中古のクラウンを無理言って借りて2台に分かれ、友ヶ島の手前の港まで向かうことになりました。その友達が兄貴から借りてきた中古のクラウンにはエアコンが無くて。話がそれますが、今の人には信じられないでしょうけど、昔はエアコンってオプションだったんですよ!そしてどちらの車に乗るか、ジャンケンで決めることになりました。
このジャンケンはとてつもなく大事です。そんな気合のジャンケンは白熱しました。私は運よく勝って、エアコンのある車に乗り込めました。
和歌山方面へ約2時間、阪和道に乗ってくだらない会話をしたり音楽を聴いたりしながら、状況によってはお互いの車を追い越し、追い越されながら、クラウンの車の様子をうかがうと、窓は全開にして、こちらに死にそうな顔を向けてきたり、開き直って大声で歌っていたり、声は聞こえないけれど汗だくになりながら、ゲラゲラと笑っている様子が見えました。それを見て、正直こう思ったんです。「ジャンケン、負けたほうが良かったかもしれない」と。
公平にそして、エアコンがある方が正しいはず、と思っていたジャンケンなのに、行きの道中を一番楽しんでたのは、負けた側でした。いろいろな場面で何かを選ぶときの基準として「正しさ」が頭の中で出てくることがあります。その時に「正しさ」ってなんだろう、とよく考えます。正しさだけ、もしくは正しさを一位にして物事を推し進めてしまうことは、誰にでもあると思います。でも「正しさ」を「明るさ」「楽しさ」「やさしさ」と横に並べて「よーいドン!」と考えたとき、正しさだけを一位にしてはいけない場面が、あるように思うんです。
家づくりにも同じ罠がある
この感覚は、実は家づくりにもそのまま当てはまると思っています。
私たちかねしろ匠舎は、断熱性能UA値0.46以下、気密性能C値0.5以下、HEAT20 G2相当以上という性能数値を一つの基準としています。これは、冬の朝に布団からスッと出られる暖かさや、エアコンに頼りすぎない家中ムラのない心地よさのための目安です。
ただ、これらの数値はあくまで「夏涼しく冬あたたかい暮らし」を長く支えるための目標であって、それ自体が目的ではありません。数値を「正しく」達成することにばかり気を取られると、その家の立地の良さを活かす大きな窓や、一番大事にしたいはずの「家族の時間」を過ごすための無駄とも思えるスペースを、いつのまにか見失ってしまうことがあります。ジャンケンの勝ち負けにこだわりすぎて、車内で笑い合う時間を逃してしまうのと、どこか似ている気がするんです。
本当の失敗とは、家族が笑い合えなくなること

私自身、この考えを一番強く持つようになったのは、自分の家をリフォームしたときでした。港区市岡にある築25年の中古住宅を、6人家族で暮らすために手を入れたのですが、そのとき重視したのは外壁のかっこよさでも、収納の量でもありませんでした。家族や仲間が、自然に集まれる居心地です。
具体的には、リビングとダイニングを、分割できる2つのテーブルとして設計しました。普段は分けて使い、人が集まるときは繋げて1つの大きな卓にする。そういう工夫です。
「家が片付くことよりも、人が集まれること。」私がほんとうに大事にしたいものは、そこにあります。
断熱性能が正しく設計されていても、収納が正しく計算されていても、家族が気を遣わず笑い合えない家になってしまったら、それこそが本当の「失敗」なのではないか。私はそう思っています。「失敗しない家」を目指しすぎるあまり、正しさだけを追いかけてしまわないように。かねしろ匠舎が家づくりでご一緒したいのは、性能という「目標」の先にある、ご家族の笑顔という「目的」です。
よくある質問
Q1. 高性能住宅でよくある「失敗」にはどんなものがありますか?
A1. 断熱・気密の数値だけを追い求め、間取りや暮らし方とのバランスを欠いてしまうケースが一般的にはよく挙げられます。数値は目安として捉え、実際の暮らし方に合わせて調整することが大切です。
Q2. 家づくりで後悔しないために、何を優先すべきですか?
A2. 性能や仕様の「正しさ」も大切ですが、それ以上に「その家でどう暮らしたいか」「誰と、どんな時間を過ごしたいか」を先に考えることをおすすめしています。
Q3. 性能と暮らしやすさ、どちらを優先すべきですか?
A3. どちらか一方ではなく、性能は暮らしやすさを支える手段だと捉えるのがよいと考えています。かねしろ匠舎では、性能を「目標」、家族の幸せを「目的」と位置づけています。
Q4. かねしろ匠舎はどんな家づくりを大事にしていますか?
A4. 大阪市港区で25年以上、代表自らが現場に立つ直接施工で、1軒ずつ丁寧に向き合う家づくりをしています。引き渡し後も一生のお付き合いとして、暮らしを見続けます。
ご相談について

「正しい家」も大切ですが「家族が笑い合える家」について、一緒に考えてみませんか。港区・大阪市内で新築・建替え・リフォームをご検討中の方は、お気軽にご相談ください。
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