知らないことにしておく、が一番怖い。——家づくりと正常性バイアスの話
- 卓哉 金城
- 19 時間前
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更新日:2 時間前
「知らない強さと怖さ」を、目の前で見た日のこと
先日、車を運転していて、ヒヤッとしたことがありました。大阪市港区の、信号のない交差点でのことです。前後に子ども用のイスを乗せた電動自転車が、突然飛び出してきました。対向車はゆっくり進んでいたものの、気づいてブレーキを踏み、なんとか止まりました。
私も思わず身構えたのですが、そのとき驚いたのは事故が起きなかったことではありません。その電動自転車を運転していた人が、右も左も確認せず、車にも驚くことなく、そのまま何事もないように走り去っていったことです。
しばらく呆然としながら、頭の中にひとつの言葉が浮かびました。
「知らない強さと怖さ」。
危険に気づかないから、怖くない。怖くないから、前に進める。自転車優先だから、自分は悪くない——その人は、何も知らない、いや考えることをやめたので、結果として「強く」そして「怖い」と見えた。
この光景を見て、自分の仕事のことを思いました。

人は都合の悪い情報を受け取らない
こんな動画を見たことがあります。
韓国の地下鉄の車両内で火事が起き、煙が充満しはじめているのに、何事もないような様子で座席に座ってスマホを触っている乗客の映像です。
「なんで逃げないんだろう」と思う方もいるかもしれません。でも、これは決して他人事ではない。
心理学的には「正常性バイアス」と呼ばれる現象で、人は自分にとって都合の悪い情報を、無意識のうちに無視したり、過小評価したりするそうです。
「そんなことはあるはずない」「自分には関係ない」と、脳が考えることをシャットダウンしてしまう。
電動自転車の人も、地下鉄の乗客も、意識的に無視していたわけではない。ただ「自転車が優先だ」「正常な状態だ」という前提が、都合の悪い情報を遮断していたのだと思います。
お米と、家と、情報の話
少し違う話をします。
皆さんは、お米を買うとき、どう選んでいますか。
たとえば、スーパーに3種類のお米が並んでいるとします。輸入されたお米。国内の農協が流通させているお米。作り手がこだわった無農薬のお米。見た目はほぼ同じ。炊けば大体似たような白いご飯になります。
どれを選ぶかは、人によって違います。
一人暮らしで時々しか自炊しない人なら「輸入米はなんとなく不安だから農協のお米」かもしれない。あるいは「一人だし量も少ないから、少し高くても無農薬にしよう」かもしれない。「食にこだわりはないし、価格が安い方がいい」という選択も、もちろんあります。
大切なのは、「自分で選んでいる」ということです。
でも、もし3つのお米に値段しか書いていなかったら?産地も、農薬の有無も、何も書かれていなかったら?人は「安いか高いか」しか判断できません。
情報があって、はじめて人は選べる。
そして私が一番怖いと思うのは、「知らない」ことではありません。「知らないことにしておこう」と選択することです。
家づくりにも、正常性バイアスがある
「何千万円もする家がいい加減に造られているはずはない」
「プロだから、キチンと仕事してるはずだ」
「家の床は水平で、柱は垂直だ。」
これも、正常性バイアスのひとつだと思います。
高い買い物だから安心。大きな会社だから安心。新しい家だから安心。——そういう前提が、確認する目を曇らせることがある。
実際には、家の品質は外から見てもわかりにくいものです。壁の中の断熱材がどう入っているか、気密がしっかり取れているか、基礎の精度はどうか——暮らしはじめてから初めて気づくことは、少なくありません。
大阪市港区で25年以上、注文住宅やリフォームに関わってきた私が感じるのは、「知らないまま家を決める怖さ」です。
知らなかっただけなら、仕方がない。でも「知ろうとしなかった」だけなら、それは防げた話になります。
お米と違って、家は買い直せません。何十年も、家族がその家で暮らします。
だから私は「知ってもらうこと」から始める
もし家づくりで一つだけお願いできるなら、私は「まず、知ってください」と言います。うちに頼むかどうかは、その後でいい。
壁の中の断熱がどう入っているか、気密がどれだけ取れているか——見学しても、外からはわかりません。でも、聞けば答えは返ってきます。「なぜこの断熱材なのか」「なぜこの構造なのか」。遠慮なく聞いてください。しっかり答えてくれるかどうか、それ自体が、その会社を選ぶ材料になります。
私がこだわるのは、難しい話を難しいまま渡さないことです。「冬の朝、布団からスッと出られる」「家中で寒暖差が少ない」——暮らしの言葉に翻訳して、はじめてお客様は自分ごととして選べる。
でも、お客様にお伝えしたいのは、情報だけではありません。その裏にある「思い」も、一緒に受け取ってほしいんです。断熱も気密も、それ自体が目的ではない。冬の朝に家族が笑顔でいられること、寒いお風呂でおじいちゃんが倒れないこと。私が守りたいのは、いつだって数字の向こうにある暮らしです。「思い」と「情報」、その両方をお渡しして、はじめて本当に選んでもらえると思っています。
「思い」と「情報」を持って選んだ家は、愛着が溢れます。私は25年以上、ずっとそれを大事にしてきました。
よくある質問
Q1. 注文住宅と建売住宅、何が一番違いますか?
A1. 一番の違いは「ゴール」だと私は考えています。建売住宅のゴールは「売れること」、注文住宅のゴールは「住まい手が幸せになること」。外から見ただけではわかりにくいですが、その差は時間が経つほど暮らしに出てきます。
Q2. 家の性能は、見学時に確認できますか?
A2. UA値・C値などの数値は資料で確認できます。ただ「実際の暮らし心地」は、数値より現場見学やOB宅の話を聞く方がイメージしやすいです。かねしろ匠舎では、完成見学会や施工事例のご紹介もしています。
Q3. 正常性バイアスを防ぐには、どうすればいいですか?
A3. 「なぜ?」「本当に?」と一度立ち止まる習慣が有効だと言われています。家づくりでは「なぜこの断熱材なのか」「なぜこの構造なのか」を、担当者に遠慮なく聞いてみてください。しっかり答えてくれる業者かどうか、それ自体が判断材料になります。
Q4. まだ何も決まっていないけど、相談してもいいですか?
A4. もちろんです。「とりあえず話を聞いてみたい」という方が一番多いです。情報を持ってから検討しても、遅くはありません。まずは気軽にどうぞ。

ご相談・お問い合わせ
「家のこと、まだよく分からないけど聞いてみたい」——そんな気持ちで十分です。
つくる人が、話を聞きます。
現場の様子や地域のことは、InstagramとFacebookでも発信しています。
かねしろ匠舎(かねしょうこうむてん株式会社)
大阪府大阪市港区市岡1-5-16
代表:金城卓哉 TEL:06-6575-9151




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